フジファブリックのアルバム『SINGLES 2004-2009』の話をしたら、どうしても『シングルB面集 2004-2009』の話をしたくなります。
話の続きとしてでなくても、どうしてもしたくなってしまう『シングルB面集 2004-2009』のこと。
なぜなら私はこのアルバムがとてつもなく好きだから。
リアルタイムでフジファブリックのシングルリリースを追っていたファンの方にとっては、そうでない私とは捉える方向性が違うかもしれませんが、
シングルを持っていない私にとっては、非常に高い完成度を感じる1枚のアルバムに思えます。
カップリング曲を集めたアルバムというより、アルバムとして制作されたもののようにね。
近年のアーティストたちのシングルはどうなのかわかりませんが、昔からB面というと、サービスで付けたような、お茶をにごしたような、そんな印象があります。
ところが、フジファブリックは違う。
フジファブリックは志村くんの強い希望があって、カップリング曲に力を入れていたといいます。2002年9月27日 | Fujifabric EMI staffブログ
四季盤と呼ばれるメジャーデビューから4枚のシングルは特にA面との対比が秀逸で、サプライズが好きだったという志村くんの一面もうかがえるように思います。
6曲目に収録されている映画スクラップヘブンのエンディングテーマとして制作された『蜃気楼』は、A面で発売されてもいいはずなのに、なんと、このB面集に収録されるまではシングルの『茜色の夕日』のカップリングとしてしか収録されていませんでした。
この『蜃気楼』は本当に鳥肌もので、志村正彦の才能の奥深さとフジファブリックのポテンシャルの高さをまざまざと突きつけられた思いの一曲です。
キーボードのダイちゃんは、この演奏を以てしてアジカンのツアーに参加したんですよね。金澤ダイスケ(フジファブリック)×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) | INTERVIEW | only in dreams
当時知らずに茜色の夕日をシングルで買って聴いた人は、ぶっ飛んでしまったんじゃないかと、その様を想像してニヤニヤしてしまいます。
そしてこのB面集を聴いて、14曲目、最後の曲となるルーティーンが流れ始めると、その前の『熊の惑星』のアップテンポでユニークな、ついついニヤけてしまう楽しいノリから一気にクールダウン。
様々な思いが沸き上がって胸が熱くなったりしながらも、静かに静かにアルバムが終わります。
このアルバムの曲順は狙ってこうしたわけではなく、リリースされた順番にきちんと並べられているのですが、まるで緩急をつけて組み立てられたかのようです。
それが一枚のアルバムとして完成していると感じる理由のひとつでもあるのでしょう。
本当に本当に大好きなアルバムです。
このアルバムを作ってくださったことに、心から感謝いたします。
特に制作にあたって尽力くださったスタッフの今村圭介さんには、私などが言うのも変ですが、本当にありがとうございますとお伝えしたい思いです。
このように大変素晴らしいアルバムですが、ひとつだけ残念なことがあって、現在購入できるのはダウンロードでということになります。
この『シングルB面集 2004-2009』はボックスタイプの『FAB BOX』に収められたかたちでの限定販売(2010年発売・2014年復刻版発売)であり、単体でのCD購入は元々できません。
単体でCDを購入できるようにならないかなぁ。
私は『FAB BOX』を購入したので、正確には買ってもらったんですけど(笑)、せっかく素晴らしいアルバムなので、多くの方に持ってもらえたらいいなと思うのです。
来年のアニバーサリーに是非!
『シングルB面集 2004-2009』収録曲()内はA面
1.桜並木、二つの傘(桜の季節)
2.NAGISAにて(陽炎)
3.虫の祭り(赤黄色の金木犀)
4.黒服の人(銀河)
5.ダンス2000(虹)
6.蜃気楼(茜色の夕日)
7.ムーンライト(茜色の夕日)
8.東京炎上(蒼い鳥)
9.Day Dripper(サーファーキング)
10.スパイダーとバレリーナ(パッションフルーツ)
11.Cheese Burger(パッションフルーツ 初回限定版)
12.セレナーデ(若者のすべて)
13.熊の惑星(若者のすべて)
14.ルーティーン(Sugar!!)
そして明日は富士吉田へ。チャイムを聴きに行ってきます!