先日、毎年この時期1週間限定で流れる夕方5時のチャイム『茜色の夕日』を聞きくために富士吉田へ行きました。
フジファブリックの初代フロントマン志村正彦さんの故郷である富士吉田市へは、娘と一緒にもう何度も行っているのですが、いつもフジファブリックのどのアルバムを聴きながら行くか考えるのも楽しみのひとつです。
志村正彦フロントマン時代のアルバムをいろいろ思い浮かべて、今日は『MUSIC』かなって思って、迎えに来てくれた娘の車に乗り込んだら『MUSIC』がかかってた(笑)
いろいろよくかぶりまくる気持ちの悪い母娘です(笑)
12月24日という、フジファンにとってクリスマスという言葉と共にやってくる特別な日に向けて、ブログに何を書こうかとちょっぴり悩みました。
このブログを始めてから初めて迎えるこの特別な日を前にしたら、話したいことがたくさんありすぎて。
というか、そうでなくてもたくさんあって、書きかけの下書きがたくさん。
ただ、特別な日だから、いつものモードで書くのもちょっとという気持ちもあって。
で、まぁ、いろいろちょっと悩んだ末に、直近富士吉田へ向かいながら聴きたいと思ったアルバムだし、志村正彦をボーカルとしては最後のアルバムでもあるし、『MUSIC』について書こうと思って書き始めたのが4日前。
書き始めたのはいいけれど、思うことがたくさんあり過ぎてなかなかまとめられず、今も全くまとまってはいないのですが、とりあえず本日一度アップしようかなと。
そうでないと他の記事のようにまとめきれないで下書きboxから出られないままとなってしまいそうなので。
と、前置きが長くなりましたが、始めましょう。
『MUSIC』は、2010年7月28日ソニー・ミュージック アソシエイテッドレコーズより発売された、フジファブリックデビューから5枚目のアルバムです。
ご存知の通り、このアルバムの制作途中、レコーディングに入る前にフロントマンの志村正彦さんが急逝されました。
志村君がいなくなってしまったことも、それによって志村君の作る新曲が聴けなくなってしまったことは本当に悲しいですが、
でもそれはどうにもならないことで、
ただそうした上で、このアルバムがあってくれて本当によかったと思います。
ネット上ではアルバム『MUSIC』についての情報を 今でもまだ多く見ることができます。
アルバムが発売されてから8年余り経った今もアルバムの制作背景を読んで知ることができるのは、本当にありがたいです。
なので私があれこれ書くまでもありませんが、
言わなくてもいいことを言いたい(笑)
『MUSIC』発売当時のexiteのインタビューでベースの加藤さんが
今回のアルバムは残った曲を寄せ集めて作った作品では決してなく、ちゃんと前に向かっているもの、彼がやろうとしていたもの。そういうアルバムを僕らなりに作っていったつもりです。
http://ent2.excite.co.jp/music/special/2010/fujifabric/music.html
と語っている通り、私自身も『SINGLES 2004-2009』やFAB BOXに収められた『B面集 2004-2009』『RARE TRACKS & COVERS』のような、ひとつのコンセプトのもとに曲を集めたアルバムといった位置づけではなく、バンドが前に進んでいく過程としてのアルバムと思って聴いてきました。
ただ、そういった中でボーカルギターである志村正彦さんがレコーディングを前にしていなくなってしまい、サポートドラムの刄田綴色さんやスタッフの協力を得て、残されたメンバーの手によって完成したということで、音楽史においてもフジファブリック史においても特異性のあるアルバムとなっています。
このアルバムにおける制作背景が背景なだけに、それを抜きにして語ることはできないのは当然のことで、それがこのアルバムの大きな特徴であるし、私ももちろんそれを抜きにして聴くことはできません。
けれど、単純にアルバムとして音楽性の高いものであることにも間違いはないと思います。
私は、このアルバムが大好きです。
このアルバムには感動的な優しさに溢れていると感じます。
志村くんの優しさ、他のメンバーやスタッフの方々の優しさ、
優しさと言ったら軽く聞こえてしまうようだけど、強い強い思いが宿った優しさです。
このアルバムが完成されて、本当によかったと思います。
その中身について色々語りたいのですが、今日のところはひとつだけ。
アルバムタイトルにもなっている曲『MUSIC』の歌詞に、志村くんの心境の変化を感じました。
枯葉が舞い散ってる秋は
君が恋しくなる
記憶の中にいる君は
いつだって笑顔だけ
「MUSIC」 作詞・作曲 志村正彦
記憶の中の「君」がいつだって笑顔だけになってる!
茜色の夕日眺めてたら
少し思い出すものがありました
君が只 横で笑っていたことや
どうしようもない悲しいこと
君のその小さな目から
大粒の涙が溢れてきたんだ
忘れることはできないな
そんなことを思っていたんだ
「茜色の夕日」作詞・作曲 志村正彦
お嬢さん お願いですから泣かないで
ならどうぞ 宜しければどうぞ ハンカチを
辺りを埋める潮風の匂い
お嬢さん 泣いてるお暇が有るのなら
すぐちょっと 気晴らしにちょっと 散歩でも
言える訳もない 言える訳もないから
渚にて泣いていた 貴方の肩は震えていたよ
波風が駆け抜けて 貴方の涙 落としてゆくよ
渚にて泣いていた 貴方の肩は震えていたよ
波風が際立てた 揺れる二人の後ろ姿を
「渚にて」作詞・作曲 志村正彦
君はなんでいつもそんな無理に笑うの
陰で泣いた君を僕は知っている
「記念写真」作詞 志村正彦 作曲 山内総一郎
君の涙が今も僕の胸をしめつけるのです
壊れそうに滲んで見える月を眺めているのです
にっちもさっちもどうにも変われずにいるよ Uh~
君の涙が今も僕の胸をしめつけるのです
振り返っても仕方がないと 分ってははいるけれど
「同じ月」作詞・作曲 志村正彦
気付いたときには遅すぎて彼女の涙に困ってた
その涙の訳聞いたなら 答えは言わず黙ってるのだろう
「笑ってサヨナラ」作詞・作曲 志村正彦
よく女を泣かす男だなーって思ってました。
歌の中で泣かせ過ぎじゃないですか?(笑)
そして志村正彦の歌詞には、過去を思い返す場面が多く見受けられますが、楽しい過去の話はあまりない印象があります。
それが、
記憶の中にいる君は
いつだって笑顔だけ
って、すごい変化だなって思って。
それだけでなく、『桜の季節』『エイプリル』『記念写真』など、それまで別れの季節として表現されてきた春が、このMUSICでは
心機一転 何もかも春は
転んで起き上がる
と、乗り越える局面を表した歌詞で始まり、
曲の終わりは
冬になったって 雪が止んじゃえば
澄んだ空気が僕を 包み込む
と、ひじょうにポジティブな表現で締めくくられています。
特に興味深いのは、「澄んだ空気が僕を 包み込む」と、自発的にポジティブに向かおうとしている表現ではなく、何もしなくても頑張らなくても、この世界は優しく自分を守ってくれるといったような表現がされている点で、
それは、そのように世界を感じられている自分がいるといった意味合いに受け取れるます。
志村くん自身がどういった心境でこの歌詞を書いたかは分りませんが、これまでとは違った変化を何となく私は感じました。
つい最近まで私は、本当にたくさんの名曲を作ってきた志村くんに対して、新しい曲をもっと聴きたかったという思いよりも、もうこれ以上求めるのは酷なような気がして、お疲れ様でしたという思いが強かったのですが、
もちろんそういう思いは今もありますが、
このアルバム『MUSIC』をこの時期に改めて聴き返してみて、
志村くんがいて完成された このアルバムを聴いてみたかった。
この先の志村くんの曲を聴いてみたかった。
そういった思いが心の底から湧いてきました。
それは叶うことはありませんが、
数々の志村曲には、まだまだ新鮮な驚きをもらえる可能性が満ちていると確信しているで、渡しはこれからも新しい志村正彦に出会えると思います。
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まとめきれず支離滅裂的かもしれませんが、一旦アップします。
また書き直すかもな半端な記事ですが、ご容赦ください。
そして、今日はこれから志村くんの故郷、富士吉田へ行ってまいります!