フジファブリック・志村正彦・富士吉田 × 私の脳内万華鏡

フジファブリック出演『バズリズム』を見て思った奇跡と不遇

1月25日にフジファブリックが日テレ系の番組『バズリズム』に出演しましたね。

今、我が家にはTVがないので(笑)、後日youtubeに上げられていた動画を拝見いたしました。演奏部分のほとんどは音がカットされていたのが残念ですが、仕方ない。(上げてくださった方ありがとうございます。)

 

番組では、フジファブリックが今年15周年を迎えるということをテーマに、5枚の写真を元にファブリックの歴史が構成されていました。

見ていて、やはりウルッと来てしまいますね。どうしても。

どういう形であれ、こうしてフジファブリックの姿を見ることができるのは、本当に嬉しいです。

 

ただ、志村正彦フロントマン時代をしっかり取り上げてくださっていて嬉しかった反面、山内総一郎フロントマン時代としては、山内総一郎のフェンダー契約が取り上げられていたのが大きかったくらいで、すでに10年近くにもボーカリストとして、フロントマンとして、そして多くの素晴らしい楽曲を作ってきた音楽家としての山内総一郎像がほとんど伝えられていないことが残念でした。

 

志村ファンとしては、もちろん志村くんが軽んじられたらそれはそれでとても悲しいのですがね。

 

フジファブリックは非常に個性的なフロントマンの志村正彦を亡くし、その後は新たなメンバーを迎えたりメンバーチェンジもすることなく、ギタリストであったメンバーの山内総一郎がフロントマンとして、志村時代の曲も引き継ぎながら新しいオリジナル曲を作り続け、バンドとしてのフジファブリックを力強く維持してきました。

これはもう本当に、ありえないようなことで、奇跡だと思います。

だからこそ、フジファブリックというバンドを語る上で、こうしたバンドの生い立ちは外せない。

けど、あまりにもそこにスポットが当たり過ぎて、現在のフジファブリックの素晴らしさというのが、イマイチ伝わって来ないという。

それは今まで見た他の番組でも感じるところでした。

 

それを思ってふと思い出したのですが、

志村くんもその昔、自分の音楽がまっとうな評価をされていないように感じていたことがあったようで、1st アルバムのプロデューサーであった片寄明人さんに「自分の音楽が正当に、音楽的にディープな視点から語られたことがあんまりないと思う」と語っていたそうです。

フジファブリック 9 | Facebook

 

志村くんは、ドラマ『モテキ』の主題歌に起用された『夜明けのBEAT』を完成させる前に他界されています。

 

今でこそフジファブリックの代表曲・名曲とされている『若者のすべて』も、シングル発売時はオリコンチャート最高順位が30位であり、志村フロントマン時代フジファブリックのシングルとしてはオリコンチャート最高順位の9位となった『蒼い鳥』、2番目の『sugar!!』14位よりも低く、大きなヒット曲というものにはなりませんでした。

総くんがバズリズムの中でも触れていましたが、桜井和寿さん(Bank Band)をはじめ各著名アーティストがカバー曲として発表されたことが、多くの人に『若者のすべて』が届くようになった大きなきっかけとして挙げられるかと思います。

それは、志村くんが他界してからのことです。

 

このほか志村正彦が作った個性が際立ったたくさんの名曲たちは、志村くんがまだいた頃にもっともっと高く評価をされていてもよかったのにと、リアルタイムを知らない私が言うのもなんですが、そう思わざるをえないところがあります。

 

そして、志村くんが音楽的に正当な評価をされていないように感じたのと同様に、総くんにも同じようなことが言えるのではないかと思ったのです。

フジファブリックが辿って来た道、総くんが下した決断、それは本当に何度でも言いたくなるくらい素晴らしく奇跡を感じるほどのものではある。それは間違いないです。

ただ、今まだこうしてフジファブリックが続いているのは、そうしたバンドの生い立ちにの特異性というだけでなく、山内総一郎の、そして金澤ダイスケの、加藤慎一の、3人それぞれのメンバーが持つ音楽性の高さと人間性があってこそであり、それを抜きにしては、今のフジファブリックは無いと思うのです。
奇跡のバンドと言えるバンドではあるけども、ただの奇跡ではなく、そこにはきっと並みならないほど注がれたエネルギーがあったであろうこと。

 

総くんだってフェンダーとエンドースメント契約した名ギタリストとしてだけでなく、ひじょうに音楽性の高い曲をたくさん作り出して歌っている音楽家であることをもっと評価されてもいい、というか、されるべきだと思ってやみません。

 

フジファブリックはひと言ふた言では語れないバンドなので、仕方ないとも思いますが、もどかしさをつい感じてしまいますね。

でも、このもどかしさを感じさせられるところも、フジファブリックに惹きつけられてやまない理由のひとつにもなっている気もします。

 

そしてふと頭によぎった歌声

幾重にも 幾重にもぉ~~♪

 

 

『蒼い鳥』フジファブリック
作詞作曲:志村正彦
 
可能なら 深い海の中から
鼻歌 奏でてごまかしたい
 
可能なら さらけてしまえたらいい
蒼さに足止めをされている
今、果てしなく吹き荒れる
風の中 立ってる 時が来るのを待つ
羽ばたいて見える世界を
思い描いているよ
幾重にも 幾重にも
 
昨日の跡がまた増えている
にらんで踏み潰してしまった
 
今、果てしなく吹き荒れる
風の中 立ってる 時が来るのを待つ
ゆらめいて 消えそうな光
たぐり寄せて ここにいるよ
羽ばたいて見える世界を
思い描いているよ
幾重にも 幾重にも
 

 

 

※志村正彦を知るためのおすすめ

片寄明人 Akito Katayose - ノート | Facebook